スペインサッカー連盟会長ビジャール氏逮捕 なぜ? リーガや代表への影響は?

スペインサッカー協会の会長アンヘル・ビジャール氏が、汚職により逮捕されたというニュースが流れています。今日はこのニュースについて、現地の新聞、ニュースサイトの情報などをまとめてみました。

 

アンヘル・ビジャール氏とは

 

ビジャール氏は、元サッカー選手、元スペインサッカー連盟の会長です。現役時代は、アスレチック・ビルバオに所属していました。ということは、バスク人ですね。

現役引退後、1988年にスペインサッカー協会の会長に就任。現在に至るまで、実に8選もされ、スペインサッカー協会の会長を務めています。ちなみに、彼の息子のゴルカ氏は、スポーツ法分野に詳しい弁護士です。

 

逮捕されたのは?

 

逮捕されたのは、ビジャール氏に加え、

彼の息子のゴルカ氏

スペインサッカー連盟の財務担当Vice Presidentのファン・パドロン氏

テネリフェサッカー連盟のSecretario Generalという役職のラモン・ヘルナンデス氏の4名です。

※ Secretario Generalというのは、いわゆる日本語の「秘書」とは違い、組織の重役を示す単語です。

 

ただし、捜査は連盟本部のほか、テネリフェ、バレンシア、セウタなどの連盟オフィスにも及んでいるようであり、今後さらに逮捕者が増える可能性があります。

 

今回の容疑は?

 

一言で言えば、汚職です。

 

現時点では、不適切なマネジメント、書類偽造、横領、資産剥奪などが容疑に含まれています。容疑の段階なのでまだ確定したわけではないですが、これ事実だったらやりたい放題だな。

 

ビジャール氏は、協会のリソースを、息子のゴルカ氏に自身の利益のために使わせたり、スペイン代表のフレンドリーマッチのマッチングを通じてゴルカ氏に利益が行くように仕向けた疑いが持たれています。

今年6月1日に行われた韓国戦、昨年5月29日に行われたボスニア戦などが捜査対象となっているようですね。

 

いちスペイン代表のファンとして、代表戦をこんな風に利用されていたというのは悲しいですね。

 

スペインサッカーへの影響はどれくらいあるの?

 

このニュースを受け、スペインサッカー会に激震が走り、実務は大混乱に・・・

 

と言いたいところですが、どうやら状況はそうでもないようです。

いや、もちろん混乱はありますし、スペインサッカー会の恥辱であることは間違いないんですが、

スペインプロリーグ機構会長のハビエル・テバス氏曰く、

 

「驚いていない。何も言うことはない。」

「過去10年にわたり、ビジャールについてどう思うか、散々語ってきた。新聞を見てもらえればわかるさ。」

 

とのこと。

どうやら、周囲はビジャール氏が清廉潔白だとは全く思っていなかったようですね。

 

2017−2018シーズンのリーガのスケジュール発表も、当初予定から1日程度の遅れでなされそうな状況です。(スペインサッカー連盟とLa Liga間で延期する、しないの悶着はあったみたいですが、プロリーグ機構側が押し切った模様です。)

ビジャール氏は1988年から現職ですし、ファン・パドロン氏、ラモン・ヘルナンデス氏の両名もそれぞれ1980年代からずっと現職についているとのこと。あまりの長期間の在任が、連盟の汚職に対する自浄作用を失わせてしまったということなんでしょうか。

 

ちなみに、ビジャール氏が有罪になるかはまだ未確定ですが、彼の不在期間は、連盟の規定上、Vice Presidentであるジョアン・ガスパール氏か、Secretario Generalであるエステル・ガスコン氏が代行を務めることになりそうな状況。

スペイン代表チームへの影響は、なんとか最小限にとどめてもらいたいものです。

 

オペレーション名”soule”に込められた意味は・・・?

 

今回の一連の捜査、オペレーション名を”Soule”と名付けられています。

これはフランス語の単語で、昔々プレイされていたボールを使ったスポーツのこと。一つのボールを、手や足を使ってゴールに運ぶという、サッカーやラグビーのルーツと言われているスポーツの一つです。

 

なぜこのオペレーション名が付けられたのかは想像するしかありませんが、サッカーを昔の姿に戻す、汚職や不正のない、過去のあるべき姿に戻すという意味が込められているような気がしてなりません。