火祭り職人の謎が明らかに!?
別記事で書いたセルバンテス文化センターの文化コース、「火祭りとバレンシアワイン」内で、火祭り職人へのインタビュー動画上映がありました。
火祭り職人のラモンさんが、給料はじめいろいろとぶっちゃけ話をしてくれましたw
ところで火祭りって何?
「火祭り」(Fallas)の名前は、ご存知の方も多いでしょう。
パンプローナの牛追い祭り、セビージャの春祭りと並ぶスペイン三大祭りの一つで、世界的にも有名なお祭りです。毎年3月15日〜19日にバレンシアで行われるんですが、この時期のバレンシアは観光客が押し寄せ、ホテルの値段が3倍以上に跳ね上がるほど(それでも、ホテルの空きを見つけるのは超大変なんですが)。
この期間、バレンシアの町ではそこらじゅうで爆竹が鳴り響き、民族衣装で着飾った美しい女性であふれます。私は、火祭り期間の直前にバレンシアに行ったことがあるんですが(火祭り期間中はホテルが取れず断念・・・)、子供たちの仮装大会が開催されていて、十分楽しめました。多分、本チャン期間中はもっとすごかったんだろうなあ。。
そして、最大の特徴であり見どころとなるのが、町中に設置される色とりどりの張り子人形。
いずれも、職人が精魂込めて作るんですが、最終日には、その年最も出来のいい1体を除いて、全て燃やしてしまうのです。この、人形を燃やすイベントが火祭りのクライマックスです。
火祭り職人インタビュー!
その人形を作る職人の一人、アンヘル・ラモンさん。
日本語ブログも運営されてます(ほぼ写真だけど)。
http://valenciadecartonpiedra.blogspot.com.es/
この方、何度も日本に旅行しており、大の日本好き。47都道府県中、行ったことないのはたった2県だけなんだそうな。たぶん、普通の日本人より日本を回ってます。
講師の常田さんのご友人であり、この日のために、インタビュー動画を撮ってくれていました。もちろん、回答は全部日本語です。スゲエぞラモンさん!(カタコトだけど)
では、そのインタビューの内容です。
Q 火祭り期間以外の日常は、何をしているの?
基本的に、1年中人形を作っており、去年は1年で6体人形を作ったそうです。もはや火祭り専門の職人ですね。
Q 火祭りの人形を作るとき、工夫していることは?
人形の中に、燃えやすいようガソリンの入ったビンを仕込むそう。
ちなみに、現在の火祭りの人形は、加工しやすい発泡スチロールを使用して作るのが主流だそうですが、燃え方が美しくなくなるのでラモンさんは張り子人形のほうが好きなんだそうです。
Q 火祭り職人をしていて、つらいことは?
火祭り直前の準備の際は、短い期間で人形を組み立てなければならないのが辛いそう。これは、「辛いこと」というよりは「大変なこと」としての回答でしょうね。
自分が作った人形が燃えていくときは、悲しさと誇らしさを同時に感じるそうです。作品が燃えてしまうのは、やっぱり少し悲しい、でも、美しく燃えていく様は誇らしい・・・。この辺の感覚は、世界に職人は数あれど、「火祭り職人」にしか理解できない感情なんだろうなあ。
もしかすると、花火職人とかの感覚に近いのかもしれませんね。一時の芸術、刹那的です。。
前の質問の回答でも出てますが、そのままでも鑑賞に堪える人形を「燃えやすく」、「美しく燃えるように」作るあたりに、職人魂というか、独特のこだわりを感じますね。
Q 給料はいいんですか?
どうやら給料はいいらしいですw
スペインの物価、日本ほどではないとはいえ、決して安くはありません。年6体しか人形が完成しないのに、それなりによいお給料をもらえるってのは個人的には驚きでした。(もちろん、人形制作以外の収入もあるんでしょうけど)
火祭りの規模を考えると、職人さんの数も相当数になるはず。それらの職人さんにそれなりの給料が行き渡るだけの財源、一体どこから来るのか。
火祭りのオフィシャルサイトを見ると、コカコーラやネスレがスポンサーになっているように見えますが・・・。謎です。。
Q 日本の人形は何が好き?
張り子人形や、博多人形が好きだそう。日本の人形作りの技術をリスペクトしているようで、日本の人形職人さんとの交流もしているそうです。
興味深い話を聞かせてくれたラモンさん。火祭りの人形は基本的に全部最終日に燃やしてしまうんですが、毎年最優秀とされた人形1体だけは、バレンシアにある火祭り博物館の展示作品になります。
ラモンさんの作品がいつか最優秀作品に選ばれますように!